GoPro 偏愛者によるGoPro Hero12の10日間使用忖度ありレビュー

GoPro Hero12の発売から1週間が経ち、色々な方がレビューを出されていますが、よくも悪くも事前情報と大きく乖離するような情報は無いかな?という所だと思います。

これを書き始めている時点で私が違った切り口でレビュー出来るのかはわかりませんが、とりあえず書き始めてみます。

GoPro Hero12が失ったもの(GPS)

ハードウェア的にGPSを基盤から取っ払ったのかはわかりませんが、とにかくHero12はGPSを使えません。
GPSはGoProをGoProたらしめていた機能の一つだと私は思っていたのですが、しれっと無くしてよい機能とは到底思えません。

↓こういう速度計とか経路を動画にオーバーレイできなくなるけど、この機能って誰も使ってなかったんです?

正直私は速度計を表示する動画は殆ど作ってなかったのですが、だからといってGPSのメタ情報が不要という理由にはならず、こういうメタ情報って今は必要なくても将来的に活用できる可能性が高いですからねぇ。

好意的に受け止めれば省電力化の実現の為にやむを得なかったのかな?と考えられるのですが旧モデルからGPSはソフトウェアで、On/Offできていたので、単なるコストダウンかな?とも邪推できてしまいます。

GoPro Hero12が失ったもの(プロキシーファイル)

GoPro Hero11以前は動画を撮影すると本体ファイルと同時にプロキシーファイル(.LRV)とサムネイルファイル(.THM)が同じフォルダに保存されていました。
これがHero12ではなくなりました。

プロキシーファイルは今まで何に使用されていたのかというとスマホアプリなどでWi-Fi経由で接続した時に参照していたファイルです。
本体ファイルは容量が大きすぎるので、スムーズに再生するために用意されていたファイルになります。

じゃあHero12はこれを無くして大丈夫なん?って感じなのですが、答えとしては「大丈夫」で、スマホアプリからSDカード内に保存されているファイルの再生要求があると、自動的にリアルタイムで低解像度の動画をスマホに送ってるみたい。処理速度も従来と変わらず「すげー」って感想です。

これは「失った」というネガティブな捉え方をするのではなく頑張って無くしてくれたと捉えるべきでしょうね。
ってか、従来は本体ファイルとプロキシーファイルの2ファイルを同時に書き込んでいたのが、12からは本体ファイルの1ファイルだけ書き込めばよくなったのですから、ひょっとするとこの仕様変更がバッテリー持ちの向上や録画中プレビュー機能の復活などに繋がってるのでは?と思いました。

GoProをPCでしか扱わない人からすると、プロキシーファイルというゴミファイルが毎度邪魔だったのですが、ゴミを消す手間が省けました。

GoPro Hero12が失ったもの(AutoBoost時の操作レスポンス)

「従来機より起動が遅い」というレビューをいくつか見かけましたが、私の起動速度に関する感想は「特に遅くはなっていない」って感じです。
先行レビュアーは軒並み起動が遅いというレビュをしていましたがファームウェアの問題だったのかな?

それよりも私が気になった点は、録画終了時の処理中時間がめちゃくちゃ長くなっている事なのでした。
しかしMaxレンズモジュラーの利用時は特に遅くは感じなかったので?あれ?何か条件があるのかな?と思って色々と調べてみたら、手ぶれ補正に「AutoBoost」を選択していると録画停止時の処理中時間が長くなるようです。
Maxレンズモードの場合はブレ補正はOnかOffしか選べないのたまたま気がつけた感じです。

POV撮影とか車載撮影とかでダラダラと長回しする分には問題ないのですが、自撮り棒やVolta装備でカット毎にこまめに録画開始、停止するような使い方だとかなり気になります。

GoProが謳っている「HyperSmooth 5.0と比較して自動ブーストで分析できるデータ量が最大4倍となった。」ってなんのこっちゃ?って感じなのですが、おそらくブレ補正解析に使用するバッファー(時間)を長めにとっているから、こんな挙動になってるんだろうなと予想しています。

しかしここまで遅くなるんだったらHyperSmooth 5.0と6.0を選択させて欲しいなぁって思いますね。
エクストリームスポーツとかだと6.0の違いが分かるのかもですけど。

GoPro Hero12が失ったもの(Recボタンの視認性)

なんでRecボタンの目立つ赤丸を廃止したんやろ?普通に使いにくいんだが。。。アクションカムって様々なマウントで色々な角度で取り付けるのでRecボタンが一目で視認できないと不便に感じるシーンが多々あります。

GoPro Hero12が失ったもの(特定解像度、特定レンズ使用時のフレームレート選択オプション)

解像度を2.7Kに選択した時にフレームレートが240FPS(60hz)、200FPS(50hz)しか選べなくなってるんですよね。

なんだこの捨て鉢感は。。。

実質2.7Kはハイスピード撮影専用解像度になっております。

それとワイドレンズ(4:3)選択時の24FPSが削られているのも気になります。

私は旅行中のレストランとかでGoProを卓上に置いてワイドレンズ(4:3)、24FPS、シャッタースピード1/24に設定して撮影する事が多かったんですよね。

キャンプサイトとかでも暗所に強くて広い画角をざっくり収める事の可能なこの設定は有用です。
それがワイドレンズ(4:3)ではできなくなりました。。。

GoProが新たに得たもの(GP-Log)

GoProが公式LUTを配布するという事で個人的にはかなり期待していました。
しかしこの設定で撮れる映像はシャープネスがおかしいのか解像感皆無の映像が記録されます。

うーん、私の使い方の問題なのか?使いこなせる気がしない。

GoProが新たに得たもの(HDR)

これは新機能として認めます。
ただしこの機能は複数露出を合成するという特性上だと思うのですが、水面の反射とか木々のざわめきを撮るのが非常に苦手のように感じます。

まだ試していないけどシュノーケリングとかでは使わない方がよい撮影モードだと思われる。
HDRはめちゃくちゃ熱くなるので使い所も難しいですね。

GoPro Hero12が新たに得たもの(省電力化と低発熱化)

これに関しては素晴らしいの一言です。

私はGoPro Hero11でのPOV撮影時は、熱停止との兼ね合いでモバイルバッテリーによる給電、4K/30FPS 色深度:8bit GPS:On リニア水平維持で撮影していました。この撮影設定ならHero11は真夏でも殆ど熱停止しません。

しかしHero12だとモバイルバッテリー給電、4K/60FPS 色深度:10bit リニア水平維持で数時間連続撮影しても熱停止しませんでした。

2023年の9月の猛暑日のテストで問題なかったので、これは使える。。。

録画中プレビューが復活したのも、この辺のチューニングによる恩恵だろうなぁと。

GoProが新たに得たもの(8:7画角の充実化)

私はHero11から実装されたアスペクト比8:7画角ってかなり活用してるんですよね。

適当に撮影して後から縦でも横でも切り出せるのはめちゃくちゃ便利で。

しかしこの画角がHero11で不便だった点は、高解像度しか選択できないのに低速フレームレートをサポートしてなかったので発熱が酷かったのです。
個人的には「ここぞ」という時に使う撮影モードだと割り切っていました。

しかしGoPro Hero12は先述した熱暴走しにくくなったという点と、8:7画角が低速フレームレートをサポートするようになったので、めちゃくちゃ使いやすい画角になった印象です。

「ワイドレンズ(4:3)が使いにくくなった」と先述しましたが、これならデータ容量が大きくなる事さえ目を瞑れば8:7画角で置き換え可能だと思いました。

GoProが新たに得たもの(MAXレンズモジュラー2.0)

MAXレンズモジュラー2.0に関しては従来から大きく進化した点といえます。

Hero11(MAXレンズモジュラー1.0)では最大解像度が2.7Kまでであったのに対し、4Kにパワーアップ。
Hero11ではMAXレンズモードの時は色深度が8bitしか選べなかったのですが、Hero12では10bitで撮影可能です。

Hero11、12のMAXレンズコードをサイドバイサイドで確認してみたところ(上記動画)、雲や草木のディテールが段違いです。(この差は単純に解像度だけの問題ではない)

Hero12は、MAXレンズモジュラー1.0(2.7K)使用時においてもHero11よりも高画質で撮影可能です。10bitで撮影できるので。

GoProが新たに得たもの(Bluetoothオーディオ機器との接続)

モトブログとかやられているユーザーにとっては待望の機能なのかな?と思うのですが、この音質で大丈夫なのかな?って気はします。
音声トラックは独立して記録されるようなので、この機能を利用した場合でも本来のGoProの内蔵マイクの音質を損なう事はないので、積極的に使って損をする機能では無いとは思いますが。

GoProが新たに得たもの(メディアモジューラの前後マイクが同時利用可能に)

なんでこれ今まで無理だったの?シリーズ。
前後同時に録音しても音声トラックが分かれて記録される、ということはないもよう。

まとめ

今までGoProは旧機種から最新機種に買い換える際に、最新機種は上位互換機であったので「最新機種を買っておけば価格の損得はあれども機能性的には間違いない」と言えたんですよ。Hero11までは。
しかしHero12ではGPS未実装になった事によってそれが言えなくなってしまいました。。。残念すぎる。

Hero12はGPSさえサポートしてくれたら「もし熱停止とかバッテリー持ちに不満があるのなら前機種のHero11からの買い替えでも価値あるかもよ?」って言える良機種になりえたと思うんですけどねぇ。

個人的にHDRとLogは要らない機能ですが、それを差し引いてもGoPro完成形だと思います。GPSさえあれば。

しかし色々パワーアップしたとは言え、どれもこれも「ソフトウェア的な」改善点である事が、既存のHero11ユーザーの不満を招く事は想像に難くないんですよねぇ。
新UIとか新しいソフトウェアに付加価値が無いとは言わないですが、AndroidスマホのOSサポート期間とかを鑑みるとケチくさい会社だよなぁと思ってしまう次第。Hero11のMAXレンズって10
bitで撮れないんだから機能を出し惜しみした上でのゴミじゃないですか、普通にカタログに書かれている内容に対してユーザーが期待する動作をしてくださいよろしくお願いします。。。

Hero12というモデル、最悪でもこれはHero11の省電力エディションとして発売すべきであったと思います。
それであれば市場も好意的に受け止めてくれたと思うのですが。

投稿者:

aroooy

I am a systems engineer freelance. I love digital devices such as smart phones. I make the iOS app by using the spare time.

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