【C# × TorchSharp】440円のデータで始める、日経225オプション予測AI自作(RTX 4060Tiでも十分説)

アプリ開発

はじめに:440円で始める金融AI開発

「金融AI」や「アルゴリズムトレード」と聞くと、機関投資家のスパコンや高額なデータ契約が必要なイメージがあるかもしれません。しかし、実は個人でもワンコイン以下で本格的な開発が始められます。

今回、JPX(日本取引所グループ)の J-Quants API から学習データを購入しました。

  • 先物 1ヶ月分:200円
  • オプション 1ヶ月分:200円
  • 合計:440円(税込)

この440円のデータ(1ヶ月分の1分足)と、手元のゲーミングPCを使って、日経225オプションの未来予測を行うAIを自作してみました。

技術選定:あえての「C#」

機械学習といえば Python が定石ですが、私はあえて C# (.NET 9) を選択しました。
理由はシンプル。正直なところ、私が Python よりも C# の方が圧倒的に得意だからです。

  • 個人の適性: Python のインデントや動的型付けに悩まされるより、長年使い慣れた C# でガリガリ書く方が生産性が高い。
  • TorchSharp: PyTorch の C# 版ライブラリが非常に優秀で、Pythonと変わらないコード量で実装できる。
  • 堅牢性: 型安全な C# なら、複雑なデータ加工パイプラインも安心して組める。

検証環境と「意外な事実」

職業柄、私のPCには RTX 5090 が搭載されているのですが、実際に学習を回してみてあることに気づきました。

「これ、5090じゃなくても余裕で動くな……?」

実際に1ヶ月分(約8,000レコード)のデータをLSTMモデル(2層)で学習させた際の負荷状況がこちらです。

TradingAI_GPU_INFO
TradingAI_TaskManager

今回使用したデータの詳細は以下の通りです。

  • 生データ(取得件数): オプション 126,484件 / 先物 28,503件
  • 学習データ(加工後): 約 8,000件 (時刻合わせ・フィルタリング後)

15万件近い生データを読み込み、AIが学習しやすい形に整形した約8,000ステップのデータをLSTMモデル(2層)に食わせた際の負荷状況がこちらです。

  • 学習時間: 100 Epochで 約50秒
  • GPU使用率: 15% 〜 30% (推移グラフはスカスカ)
  • GPU温度: 30℃ (ほぼ室温)
  • VRAM使用量: 約 7.6GB

完全にオーバースペックでした。
GPU温度は30℃と驚異的な低さを維持しており、ファンは1200回転ほどで回ってはいますが、GPU自体はほとんどの時間、CPUからのデータ転送を待って「あくび」をしている状態です。

結論:ミドルレンジGPUで十分いける(ただし注意点も)

このデータ(VRAM 7.6GB程度)を見る限り、今回の規模であれば RTX 5090 などのハイエンドカードは必須ではありません。
むしろ、以下のクラスのGPUが最もコスパよくこの開発を楽しめるはずです。

  • RTX 3060 (12GB版): VRAMに余裕があり、中古市場でも安価。最適解かも。
  • RTX 4060 Ti (16GB版): 将来的にデータ量を増やしても余裕で対応可能。
  • RTX 4060 (8GB版): VRAM 7.6GBならギリギリ動くライン。

「AI開発には数十万円のGPUが必要」と身構える必要はありません。今のゲーミングPCに入っているグラボで、今すぐ始められます。

※ハイエンドGPUが必要になるケース

もちろん、RTX 5090 が無意味というわけではありません。今回は「LSTMモデル」かつ「1ヶ月分のデータ」だったため負荷が軽かっただけです。

今後、以下のような本格的な開発フェーズに入ると、やはりハイエンドGPUのパワーが必須になってきます。

  • Transformer (Attention機構) の導入: 計算量が爆発的に増えるため、高性能な計算コアが必要。
  • データの長期化: 1年〜10年分のデータをメモリに乗せる場合、24GB以上のVRAMがないと動かない。
  • ハイパーパラメータ探索: 何千通りもの設定を総当たりで試行する場合、圧倒的な時短効果がある。

入り口はミドルレンジで十分ですが、「沼」にハマって高度なモデルを追求したくなった時 にこそ、ハイエンドGPUが真価を発揮するでしょう。

システム構成と公開コード

システムは、J-QuantsのCSVデータをMariaDBに入れ、C# (TorchSharp) で学習し、推論モデル(.dat)を出力する構成です。

ソースコードは全て GitHubで公開 しました。
C#派のエンジニアの方、あるいは「Python環境構築で挫折したけどAIはやってみたい」という方、ぜひ手元のグラボで動かしてみてください。

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※動作環境についての注意
現状、本システム(TrainerおよびTradingBot)の動作確認は Windows環境のみ で行っています。
(CUDA対応のWindows版TorchSharpパッケージを使用しているため、LinuxやMacで動作させる場合はNuGetパッケージの構成変更が必要です)

今後の展望

現在は「モデルが動く」ところまで完成しました。
次は、このモデルを Raspberry Pi 5 に移植する計画です。

RTX 4060/5090 等のPCでサクッと学習させて、推論と運用は省電力なラズパイに任せる。この「ハイブリッド構成」で、手数料のかからないペーパートレード(仮想売買)を行い、24時間相場監視ボットを作り上げていきます。

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